はじめに
就労支援員は、福祉職のひとつです。
主な業務は、病気や障がいで一般的な就労が困難な方をサポートすること。
この記事では、サポートの具体的な内容や働く主な場所、最新の求人傾向や必要な資格など、支援員として働く人が事前に知っておきたい内容をまとめています。
就労支援事業は社会と人をつなぐ架け橋
就労支援員のような仕事は、「就労支援事業」に分類されます。
就労支援事業には、
・就労移行支援
・就労継続支援A型(雇用契約型)
・就労継続支援B型(非雇用型)
・就労定着支援
・就労選択支援
があります。
それぞれの福祉サービスの概要と、支援員が担う業務について、みてみましょう。
就労移行支援の概要と主な業務
就労移行支援は、就労を希望する対象者に向けて、スキルアップの機会を提供する福祉サービスです。
利用は最長2年間(24ヶ月)で、模擬面接や企業実習などを通して就労に必要なスキルを身につけてもらうのが目的です。
就労移行支援事務所に勤務する支援員は、ビジネスマナーやパソコンスキルといった基本的なスキル会得のための、訓練指導、面接練習の支援等を行います。
また、実際の企業で実習を行う際の手配、同行も重要な業務です。
就労継続支援A型(雇用契約型)の概要と主な業務
就労継続支援A型事業所では、対象者が雇用契約結んで就労に取り組みます。
対象者はB型と比べると、体調が安定している、一定のスキルを有しているケースが多く、支援員は職場での適応能力向上を支援します。
主な業務は、勤怠管理、勤務態度の確認、作業指導等です。
A型は、「働きながらトレーニングする」という環境にあり、将来的な一般就労を目指す方もいます。
そのため、一人ひとりに合わせた段階的な計画の策定や、支援のかたちが求められます。
就労継続支援B型(非雇用型)の概要と主な業務
就労継続支援B型作業所は、一般企業での就労が現時点では難しいという方を対象に作業や、社会参加の機会を提供を行っています。
主な作業は、袋詰めのような軽作業や、清掃、農作業です。
対象者がこれらの作業を安心して行えるように、作業訓練をするのが支援員の役割です。
B型作業所では、作業を通じて生活リズムを整えたり、対人スキルを身につけたりできるよう整えるのが目標になります。
ご本人のペースを大切にしながら、「生活リズムの中に働くことを組み込む」サポートをしていきます。
就労定着支援の概要と主な業務
就労定着支援事業所は、障害者総合支援法によって設置されています。
業務内容は、就労移行支援や就労継続支援等を通じて一般企業へ就労した方を対象としており、個別性が高い業務といえます。
サービスの利用者は、一般就労して6ヶ月以上経過した方です。
ここでの支援員の主な業務内容は、利用者との面談、企業と利用者本人、そして医療機関や地域支援機関との橋渡しです。
面談を通じて利用者の生活面の課題や悩みを見つけ、職場での不安を軽減するために支援を行います。
就労選択支援の概要と主な業務
就労選択支援は、改正障害者総合支援法によって2025年10月に新設されました。
これは、アセスメント(目的のために必要な情報を収集して分析し、対象者を客観的に評価するプロセス)を通じて、就労を希望する方に適した働き方を提案する仕事です。
就労選択支援の利用は、標準利用機関が1ヶ月と短いため、スピーディに利用者本人の作業体験、アセスメント作成、関連機関との調整を行う必要があります。
福祉の仕事:就労支援員、職業指導員、生活支援員の違い
就労支援員と似ている仕事には、職業指導員や生活支援員がいます。
就労支援員は、面接練習や作業指導、職場との連携等、就労から定着までのプロセスを幅広くサポートするのが主な業務です。
一方、職業指導員は作業現場での支援を中心とした業務に携わります。
生活支援員は、入所型や通所型の施設において、食事や入浴、排泄の介助等、生活面のサポートをするのが仕事です。
持っていると役立つ!就労支援員にまつわる資格
就労支援員に必要な資格は特にありません。
未経験でも応募できる求人も多く、現場で働きながら仕事を覚えていくことができる事業所も増えています。
しかし、実務経験や福祉系の資格があれば、よりスムーズに業務を行うことができます。
職場環境によっては、配置基準上で要件を満たす必要があったり、キャリアアップのために資格が必要になったりすることもあります。
就労支援員の業務に活かせる代表的な資格には、次のようなものがあります。
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神疾患の方の社会復帰と生活支援を専門とする国家資格です。
当事者とその家族の相談にのって、医療スタッフと連携しながら支援を行います。
合格するには、福祉系大学や養成施設で受験資格を得た後、年1回実施される試験を受ける必要があります。
合格率は60〜70%前後とされています。
社会福祉士
社会福祉士は、障がい者、高齢者、生活に困窮した方をはじめとする社会的支援を必要とする方と、支援機関をつなぐ役割を担う国家資格です。
就労支援だけでなく、医療や家族との関係、住まいといった包括的な視点でのサポートが求められます。
資格を取得するには、福祉系大学や養成施設で実習を含めた所定の内容を修め、19科目の国家試験に合格する必要があります。
合格率は60%前後とされています。
介護福祉士
介護福祉士は、障がい者、高齢者の身体介護および生活支援を行う国家資格です。
介護分野で唯一の国家資格で、取得には実務経験3年以上にくわえ、実務者研修を修了している等の条件が求められます。
また、指定施設を卒業後国家試験を受けることでも取得を目指せます。
就労支援の現場では、特に就労継続支援B型で知見を活かす機会があります。
試験の合格率は60〜70%前後とされています。
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格は、福祉職の公務員や施設職員として働く「任用」のために必要な資格です。
大学で指定の科目を履修すると取得可能です。
無資格で福祉業界へ応募するよりも採用されやすいとされており、将来的に上位職(相談支援専門員、サービス管理責任者)を目指せる資格です。
児童指導員任用資格
児童指導員任用資格は国家資格ではありません。任用に関わる資格です。
児童福祉施設(児童発達支援、放課後等デイサービス、児童養護施設)で働くために、必要とされています。
・教員免許や社会福祉士の資格を有している
・心理、教育、社会学系の大学科目を修了している
・児童福祉施設で2年以上の実務経験がある
といったさまざまな要件によって取得できます。
就労支援員に直接関わる資格ではありませんが、キャリアチェンジや、より視野の広い支援を行う上で役立つ資格です。
相談支援専門員
相談支援専門員は、専門職の資格です。相談支援専門員は、障がい者やそのご家族の相談に対して、必要なサービスや支援計画を作成します。
・福祉、医療、教育の分野で一定の実務経験がある
・相談支援従事者初任者研修を修了している
という条件を満たすと取得できます。
サービス管理責任者
サービス管理責任者は、福祉サービスにおける中核的な職種です。個別支援計画の作成だけでなく、職員のマネジメントも行います。
就労移行支援事務所では、サービス管理責任者を1名以上配置することが法令で義務づけられており、キャリアアップや年収アップに直結する資格、ポジションといえます。
取得には、
・実務経験
・サービス管理責任者等研修(基礎+実践)を修了している
という2つの条件を満たす必要があります。
就労支援員の平均給与
厚労省の公表したデータによると、就労支援員の平均給与は令和4年時点で23.4万円(常勤)となっています。
非常勤の場合、平均給与は13.6万円です。
職場の規模や形態によっても違いはありますが、ボーナスを含めた年収は300〜400万円とされています。
就労支援員の一日の流れ(例)
就労支援員の業務を一日の流れであらわすと、次のようになります。
業態や支援内容によって違いはあるものの、「記録・調整」と「利用者への直接支援」が業務の柱となっているのは共通しています。
【午前】
・出勤後、ミーティング
引き継ぎや当日確認実施
・利用者の受け入れ
健康チェック
・朝礼
・訓練
個別訓練(PC操作、ビジネスマナー、模擬面接)
集団プログラム(グループワーク)
様子を観察、支援しながら記録
【午後】
・訓練、作業活動の支援
外部実習の同行、企業見学
・個別面談の対応
・企業とのやりとり
(利用者へのフォローアップ、電話、訪問)
・終礼
・記録作成
・スタッフ会議、ケース会議
・翌日の準備をして退勤
就労支援員に適した人の特徴
就労支援員に向いているのは、次に挙げるような長所に一つでも当てはまるような人です。
・慌てず落ち着いて行動できる
・コミュニケーションスキルがある
・人と会話することが楽しい
・先の目標に向けてコツコツ努力ができる
・「人の役に立ちたい」という気持ちをもっている
就労支援員は、平均給与が全体平均より低いとはいえ、需要の高い仕事です。
利用者は増加傾向にあり、AIが台頭する未来でも仕事がなくなるリスクは低いと考えられています。
また、夜勤がないことから介護や福祉の仕事の中では、比較的体力的な負担が少ない職種といえます。
さらに、実務経験を積むことで、資格取得にチャレンジしたり、上位職へのキャリアアップも可能です。
まとめ:就労支援の仕事内容と社会に与える価値を改めて確認しよう
就労支援を必要とする利用者は年々増えており、利用者と社会をつなぐ役割としての就労支援員も、ニーズが高まっています。
当事者や家族の悩みや不安に寄り添い、それぞれに合わせたサポートを実施しながら自身のキャリアについても未来図を描いてみましょう。